抗がん薬による悪心・嘔吐(chemotherapy-induced nausea and vomiting:CINV)の予防では、オランザピンを含む4剤併用療法が重要な選択肢です。
一方、日本では長らく「糖尿病の患者、糖尿病の既往歴のある患者」はオランザピンの禁忌とされてきました。そのため、糖尿病患者ではCINVリスクが高くてもオランザピンを使用できず、従来の3剤併用療法を選択せざるを得ない場面がありました。
この扱いは、2026年8月の電子添文改訂で変わりました。
ただし、「禁忌から外れた=糖尿病患者にも通常どおり使用できる」という意味ではありません。今回の改訂は、CINV目的に限り、血糖コントロールが良好な患者を対象として、厳格な血糖管理と緊急対応体制のもとで投与を可能にしたものです。
言い換えれば、外来化学療法で気軽にオランザピンを追加できるようになったわけではありません。重篤な高血糖を早期に発見し、直ちに対応できる管理体制を条件として、必要性の高い患者に限って使用への道を残した改訂です。
この記事では、2026年改訂で何が変わったのか、糖尿病患者へ投与する際にどのような管理が必要なのか、さらにCINVにおける5 mgと10 mgの使い分けを整理します。
先に結論
- 2026年8月25日の改訂により、CINV目的で使用する場合に限り、糖尿病または糖尿病の既往歴のある患者は禁忌ではなくなった
- 統合失調症、双極性障害に対する投与では、糖尿病またはその既往歴のある患者は引き続き禁忌である
- CINV目的でも、血糖コントロールが良好な患者に限り、治療上の有益性が危険性を上回ると判断した場合に使用する
- 電子添文の「警告」では、著しい血糖上昇からDKAや糖尿病性昏睡を来し、死亡に至る場合があることを踏まえ、毎日頻回の血糖測定、継続的な観察、緊急対応体制を求めている
- 日本癌治療学会の速報版では、外来治療が可能なレジメンであっても、糖尿病患者にオランザピンを使用する場合は入院管理を求めている
- 投与前から投与中は毎日頻回に血糖を測定し、投与終了後も血糖値が安定するまで観察を継続する
- 標準的な投与日数はday 1~4の4日間であり、入院期間も投与期間と血糖推移を踏まえて計画する。投与初日だけ入院すればよいという運用ではない
- CINVに対する国内承認用量は通常5 mg、状態により増量可能だが1日10 mgが上限である
- 多くの患者では5 mgから開始するのが基本であり、10 mgは5 mgで制吐不十分かつ傾眠などを許容できる場合に検討する
- 5 mgのほうが10 mgより高血糖リスクが低いとする十分な臨床データはない。糖尿病患者で5 mgを選ぶ根拠は、「血糖に安全と証明されているから」ではなく、承認上の通常量かつ必要最小限の用量だからである
2026年改訂で何が変わったのか
2026年8月25日付の使用上の注意改訂により、禁忌の記載は効能別に分けられました。
| 使用目的 | 糖尿病または糖尿病の既往歴がある患者の扱い |
|---|---|
| 統合失調症 | 引き続き禁忌 |
| 双極性障害における躁症状・うつ症状の改善 | 引き続き禁忌 |
| CINV | 禁忌から除外。ただし警告および特定の背景を有する患者として厳格に管理 |
現在の電子添文では、CINV目的で糖尿病またはその既往歴のある患者へ投与する場合、次の条件が示されています。
- 治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合に限る
- 血糖コントロールが良好な患者にのみ投与する
- 投与量と投与期間を必要最小限にする
- 投与前および投与期間中は、毎日頻回に血糖値をモニタリングする
- 投与後も血糖値が安定するまで観察を継続する
- 投与期間を通じて、緊急時に十分対応できる体制を整える
つまり、今回の変更は単純な「禁忌解除」ではありません。
CINVという短期投与の場面に限定し、厳格な安全管理を前提として投与可能にしたと理解するのが適切です。
とくに、この条件は電子添文の「警告」に置かれています。警告1.1では、著しい血糖値の上昇からDKAや糖尿病性昏睡などを発症し、死亡に至る場合があることが明記されています。そのうえでCINVに関する警告1.3は、糖尿病またはその既往歴のある患者に投与する場合、毎日頻回の血糖モニタリング、患者状態の継続的な観察、緊急時に十分対応できる体制を求めています。
したがって、これらは「可能であれば実施する」程度の注意事項ではありません。今回の改訂は、高血糖リスクが否定されたことによる禁忌解除ではなく、重篤な高血糖を早期に発見し、直ちに対応できる管理体制を前提として、CINV目的に限り投与を可能にした改訂です。
なお、効能又は効果に関連する注意では、オランザピンは「強い悪心、嘔吐が生じる抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)」を投与する場合に限って使用するとされています。禁忌解除は、すべての抗がん薬治療でオランザピンを一律に追加する根拠にはなりません。
なぜ禁忌が見直されたのか
オランザピンは、5-HT2、5-HT3、D2、H1、ムスカリン受容体など複数の受容体を遮断します。この多元的な作用により、とくに制御が難しい悪心を含め、CINV予防効果を示します。
高度催吐性リスクの抗がん薬に対しては、5-HT3受容体拮抗薬、NK1受容体拮抗薬、デキサメタゾン、オランザピンの4剤併用が国内外のガイドラインで標準的な選択肢となっています。
それにもかかわらず、日本では糖尿病またはその既往歴があるという理由だけでオランザピンを使用できませんでした。海外の添付文書では糖尿病患者を一律に禁忌とはしておらず、投与前・投与中の血糖測定や高血糖症状の観察を求めています。
PMDAの調査結果報告書では、次の点が検討されました。
- 糖尿病患者だけを対象とした無作為化比較試験はない
- CINVに対するオランザピンの海外試験では、コントロール不良の糖尿病を除外していても、血糖コントロールが良好な糖尿病患者を一律には除外していない試験がある
- オランザピンを用いたCINVの無作為化比較試験では高血糖の報告はあるが、糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)や高浸透圧高血糖状態(HHS)などの重篤な高血糖関連事象は報告されていない
- 一方、国内の副作用報告には、CINV目的でオランザピンとデキサメタゾンを使用後にHHSに至った症例があり、投与前・投与中に血糖測定が行われていなかった
このためPMDAは、使用経験が十分とはいえないことを認めたうえで、対象を血糖コントロールが良好な患者に限定し、入院下で頻回に血糖を測定すれば、重篤な高血糖関連事象のリスクを最小化できると判断しました。
重要なのは、「短期投与だから高血糖は起こらない」と判断されたわけではないことです。重篤化を防ぐために必要なのは、短期投与であることに加え、対象患者の選択と血糖上昇の早期発見です。
「血糖コントロールが良好」とはどこまでか
電子添文には「血糖コントロールが良好な患者にのみ投与すること」と記載されていますが、開始可能なHbA1cや血糖値の一律のカットオフは示されていません。
また、日本癌治療学会の制吐薬適正使用ガイドライン速報版に示された「例えば食前血糖値200 mg/dL未満」は、血糖値が安定した状態であることを確認して退院を計画する際の例示です。これをそのまま投与開始基準と読み替えることはできません。
実際には、次の情報を組み合わせて判断する必要があります。
- 化学療法前の血糖値とHbA1c
- 直近の血糖変動と低血糖歴
- 糖尿病治療薬、インスリン使用の有無
- DKA・HHSの既往
- 感染症、脱水、食事摂取不良など血糖を不安定にする要因
- 併用するデキサメタゾンの用量と投与日数
- 腎機能・肝機能、全身状態
- 入院中および退院後のモニタリング体制
化学療法前に糖尿病が新たに判明した場合や、コントロール不良と判断される場合は、オランザピンを追加する前に内分泌内科・糖尿病内科へ相談し、血糖管理を整えることが優先されます。
糖尿病患者ではどのように血糖を管理するか
1.原則として入院管理
日本癌治療学会の速報版では、糖尿病またはその既往歴のある患者に制吐目的でオランザピンを使用する場合、血糖コントロールが安定していることを確認したうえで、入院管理で化学療法を行うとしています。
これは、もともと外来投与が可能なAC療法、カルボプラチン、オキサリプラチンを含む治療でも同様です。したがって今回の改訂は、「糖尿病患者にも外来でオランザピンを追加できるようになった」という内容ではありません。
厳密には、電子添文そのものに「入院」という文言はありません。しかし、「投与前および投与期間中は毎日頻回に血糖値をモニタリングする」「患者の状態を継続的に観察する」「投与期間を通じて緊急時に十分対応できる体制を整える」という警告を、実臨床で確実に実行するための具体策として、学会速報版は入院管理を示しています。
禁忌解除後も、多くの外来症例では使いにくい
外来化学療法中の糖尿病患者で悪心が問題となり、オランザピンを追加するために数日の入院が必要となれば、「そこまでして追加する必要があるのか」という疑問が生じます。これは当然の検討です。
入院はオランザピンの制吐効果を代替するものではありませんが、オランザピン追加のためだけに入院する患者負担は小さくありません。そのため、まずはNK1受容体拮抗薬、5-HT3受容体拮抗薬、デキサメタゾンの選択・用量・投与日数、レスキュー薬など、オランザピン以外の制吐療法が適切に組まれているかを再評価します。
そのうえで、CINVが治療継続や栄養・水分摂取を妨げており、代替策では十分に制御できず、入院管理の負担を上回る利益が期待できる場合に、オランザピンを検討します。つまり、禁忌から外れたのに使いにくいのではなく、厳格な管理を実行できる症例に限定することで禁忌解除が成立していると捉えるべきです。
2.投与前・投与中は毎日頻回に測定
電子添文は「毎日頻回」の血糖モニタリングを求めています。学会速報版では、毎食前に加えて必要に応じて眠前を含む、1日3~4回の血糖測定が例示されています。
血糖値に応じてインスリン投与を行いますが、具体的な補正方法や基礎インスリンを含む治療設計は、患者の平常時の治療内容、食事摂取量、デキサメタゾンの投与スケジュールを踏まえて決めます。スライディングスケールだけで管理が難しい場合は、次コース前に糖尿病専門チームと管理方法を再検討します。
3.オランザピン終了後も観察する
投与終了と同時に血糖への影響が消えるとは限りません。電子添文では、投与後も血糖値が安定するまでモニタリングを継続するよう求めています。
学会速報版では、血糖値が安定していることを確認して退院を計画し、口渇、多尿、倦怠感など高血糖を疑う症状があれば必要な入院管理を継続するとしています。
退院後についても、次の場合は夜間・休日を問わず医療機関へ連絡・受診するよう、患者と家族へ具体的に説明しておく必要があります。
- 自己血糖測定で食前血糖値200 mg/dL以上が続く
- 300 mg/dL以上など、平時より明らかに高い値を認める
- 口渇、多飲、多尿、頻尿、強い倦怠感などが現れる
- 悪心、嘔吐、食事摂取不良が強く、脱水やケトアシドーシスを否定できない
「高血糖症状があれば様子をみる」のではなく、誰が電話対応しても受診につなげられるよう、診療録への記載や院内運用の整備も重要です。
血糖上昇はオランザピンだけの問題ではない
CINV予防では、オランザピンとデキサメタゾンを併用することが一般的です。デキサメタゾンも投与当日から血糖値を上昇させるため、糖尿病患者の血糖上昇をオランザピンだけに帰属させることはできません。
今回の改訂で検討された国内HHS症例も、オランザピンとデキサメタゾンの双方が血糖上昇に関与したと評価されています。
したがって、薬剤師が処方監査するときは、オランザピンの有無だけでなく、次の点をセットで確認します。
- デキサメタゾンの1日量と投与日数
- パロノセトロン使用時など、ガイドライン上ステロイド省略が可能な日がないか
- 前コースの血糖推移とインスリン使用量
- 食事摂取不良時にも継続される糖尿病治療薬がないか
- SGLT2阻害薬使用中の正常血糖ケトアシドーシスのリスク
ただし、血糖上昇を懸念して標準制吐療法を自己流に減らせばよいわけではありません。抗がん薬の催吐性リスク、患者のCINVリスク、前コースの症状を踏まえ、オランザピンとデキサメタゾンの双方を含む制吐療法全体を設計する必要があります。
オランザピン5 mgと10 mgはどう使い分けるか
国内の電子添文では、CINVに対して他の制吐薬と併用し、通常5 mgを1日1回投与します。患者の状態により増量できますが、1日10 mgが上限です。
したがって、承認用量上も5 mgが基本で、10 mgは増量時の選択肢です。
10 mgのエビデンス
Navariらの第III相試験では、高度催吐性化学療法を受ける患者に、標準3剤とオランザピン10 mgまたはプラセボをday 1~4に投与しました。
オランザピン群では、全期間(0~120時間)の無悪心率が37%対22%、完全奏効率(complete response:嘔吐なし、かつ救済治療なし)が64%対41%と改善しました。一方、day 2には鎮静の増加がみられ、5%で重度でした。
10 mgは有効性を確立した重要な用量ですが、傾眠、注意力低下、転倒などが問題になりやすい患者では使いにくい場合があります。
5 mgのエビデンス
日本で行われたJ-FORCE試験では、シスプラチンを含む高度催吐性化学療法に対し、標準3剤へオランザピン5 mgまたはプラセボをday 1~4に追加しました。
遅発期の完全奏効率は79%対66%、全期間では78%対64%で、5 mgでも明確な上乗せ効果を示しました。治療関連のGrade 3傾眠は1例のみでした。
さらに、2025年に報告された日本の乳がん患者を対象とする第III相試験では、アンスラサイクリン+シクロホスファミド療法後にオランザピン5 mgを4日間投与し、全期間の完全奏効率は58.1%対35.5%とプラセボより高い結果でした。
これらの結果から、5 mgは「10 mgを使えないときの妥協量」ではなく、CINV予防効果を示した標準的な用量と考えられます。
ただし、J-FORCE試験を含む国内臨床試験では、当時の禁忌を背景に糖尿病患者が除外されていました。5 mgのCINV予防効果が確立していることと、糖尿病患者における血糖面の安全性が確立していることは分けて考える必要があります。
5 mgと10 mgを直接比較したデータは限定的
5 mgと10 mgを比較した試験では、両用量で有効性が示され、5 mgが推奨用量として選択された報告があります。一方、直接比較試験の規模や治療背景は限られており、すべての患者で5 mgと10 mgが完全に同等と断定できるわけではありません。
実臨床では、次のように考えると整理しやすいでしょう。
| 用量 | 選択しやすい場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 5 mg | 初回導入、高齢者、傾眠・転倒が気になる患者、併用鎮静薬がある患者 | 5 mgでも傾眠や高血糖は起こり得る |
| 10 mg | 5 mgを含む適切な予防でもCINVが残った患者、強い悪心リスクがあり、過去に鎮静を許容できた患者 | 傾眠、注意力低下、転倒、抗コリン作用などにより注意 |
糖尿病患者では、電子添文が「投与量及び投与期間は必要最小限」としているため、通常量の5 mgから検討するのが自然です。
ただし、5 mgなら血糖上昇を回避できるというデータはありません。高血糖リスクを理由に5 mgを選んでも、入院管理や頻回の血糖モニタリングを省略することはできません。
投与日数は4日か、6日か
電子添文では、CINVに対する各サイクルの投与期間は「6日間までを目安」とされています。一方、日本癌治療学会の速報版では、標準制吐療法としての投与をday 1~4の4日間とし、糖尿病患者ではこの投与日数を遵守するよう示しています。
追加投与が必要な場合は、入院管理を継続したうえで必要最低限にします。
標準どおり4日間投与する場合、入院期間もオランザピンおよびデキサメタゾンの投与期間と血糖推移を踏まえて計画します。さらに電子添文は、オランザピン終了後も血糖値が安定するまでモニタリングを継続するよう求めています。このため、投与初日だけ入院し、残りを外来で継続するという単純な運用ではなく、複数日の入院管理と、安定を確認してからの退院を想定する必要があります。血糖値が安定しなければ、観察期間がday 4を超える可能性もあります。
したがって糖尿病患者では、「添付文書上6日まで投与できる」ことを理由に漫然と延長するのではなく、まず4日間を基本とし、延長する場合はCINVの状況、血糖推移、代替策を再評価するのが実務的です。
薬剤師の処方監査チェックリスト
糖尿病またはその既往歴がある患者に、CINV目的でオランザピンが処方されたら、次を確認します。
- 使用目的がCINVであるか
- 血糖コントロールが良好と判断できる根拠があるか
- 治療上の有益性が危険性を上回ると判断されているか
- オランザピン以外の標準制吐療法とレスキュー薬が十分に最適化されているか
- オランザピン追加による利益が、複数日の入院管理に伴う患者負担を上回るか
- 入院管理となっているか
- 化学療法前の血糖値、HbA1c、DKA・HHS歴を確認したか
- 毎食前±眠前など、毎日頻回の血糖測定指示があるか
- 高血糖時のインスリン指示と連絡基準があるか
- デキサメタゾンの用量・投与日数は適切か
- オランザピンは通常5 mgから開始されているか
- 投与日数は原則4日間で、延長時の理由が明確か
- 投与期間と血糖推移を踏まえた入院期間が計画され、血糖値の安定を確認してから退院する運用になっているか
- 傾眠、転倒、運転、併用する鎮静薬への対応があるか
- 投与終了後・退院後の血糖確認と受診目安が患者・家族へ説明されているか
- 夜間・休日を含む緊急連絡先と院内対応が共有されているか
まとめ
2026年8月の電子添文改訂により、CINV目的で使用する場合に限り、糖尿病またはその既往歴のある患者へのオランザピン投与は禁忌ではなくなりました。
しかし、これは「糖尿病でも問題なく使える」という変更ではありません。
警告欄には、著しい血糖上昇からDKAや糖尿病性昏睡を発症し、死亡に至る場合があることが示されています。血糖コントロールが良好な患者を選び、治療上の有益性と危険性を評価し、入院下で投与前から毎日頻回に血糖を測定し、投与終了後も安定するまで観察する。この一連の管理を前提として、初めて使用可能になったと考える必要があります。
標準的なオランザピン投与はday 1~4の4日間です。入院期間は一律に4日間と決められているわけではありませんが、投与期間と血糖推移を踏まえて計画し、安定を確認してから退院します。したがって、とくに外来化学療法では、オランザピンを追加するために複数日の入院が必要となる可能性を含めて、代替制吐療法の最適化と患者負担を検討しなければなりません。
CINVに対する用量は5 mgが基本です。10 mgには確立した有効性がありますが、5 mgも複数の第III相試験で有効性を示しており、傾眠を含む忍容性とのバランスから、多くの患者では5 mgから開始するのが実務的です。
糖尿病患者では、5 mgを選択したとしても血糖管理を簡略化できません。今回の改訂を活かす鍵は、禁忌か否かという二択ではなく、適切な患者選択、必要最小限の用量・投与期間、頻回の血糖モニタリング、退院後まで含めた安全管理を一つのセットとして運用することです。
今回の改訂は、糖尿病患者への外来使用を広く解禁したものではありません。厳格な管理を行ってでもオランザピンを使用する利益がある患者に、限定的な選択肢を確保した改訂と理解するのが適切です。
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参考文献・資料
- PMDA.オランザピンに関する調査結果報告書.2026年7月14日
- 厚生労働省.「使用上の注意」の改訂について(医薬安発0825第1号).2026年8月25日
- オランザピン錠 電子添文.2026年8月改訂
- 日本癌治療学会.制吐目的としてのオランザピン投与時の血糖管理について(制吐薬適正使用ガイドライン速報版).2026年8月25日
- Navari RM, et al. Olanzapine for the Prevention of Chemotherapy-Induced Nausea and Vomiting. N Engl J Med. 2016;375:134-142.
- Hashimoto H, et al. Olanzapine 5 mg plus standard antiemetic therapy for the prevention of chemotherapy-induced nausea and vomiting (J-FORCE). Lancet Oncol. 2020;21:242-249.
- Yanai T, et al. A double-blind randomized phase II dose-finding study of olanzapine 10 mg or 5 mg for the prophylaxis of emesis induced by highly emetogenic cisplatin-based chemotherapy. Int J Clin Oncol. 2018;23:382-388.
- Saito M, et al. Overall efficacy and safety of olanzapine 5 mg added to triplet antiemetics for an anthracycline-containing regimen in patients with breast cancer. Lancet Oncol. 2025;26:960-970.
※本記事は医療従事者向けの情報整理を目的としています。個々の患者への投与可否、血糖管理および制吐療法は、最新の電子添文・ガイドラインを確認し、患者背景と治療環境を踏まえて担当医療チームで判断してください。

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