【論文サマリー】HER2陽性転移性胃がん・食道胃接合部腺がんにおけるトラスツズマブ デルクステカンとラムシルマブ+パクリタキセルの比較(N Engl J Med, 2025)

■Citation

著者名:Kohei Shitara, et al.

論文タイトル:Trastuzumab Deruxtecan or Ramucirumab plus Paclitaxel in Gastric Cancer

雑誌名:N Engl J Med

発行年:2025年

PMID / DOI: PMID: 40454632 / DOI: 10.1056/NEJMoa2503119

■Background

・第2相試験に基づき、トラスツズマブベースの治療歴があるHER2陽性転移性胃がんまたは食道胃接合部腺がん患者に対し、トラスツズマブ デルクステカンが承認された。

・ラムシルマブ+パクリタキセルも、HER2の状態に関わらず標準的な二次治療の選択肢である。

■研究デザイン

・国際共同、無作為化、第3相試験

・トラスツズマブベースの治療中に病勢進行が確認され、その後の腫瘍生検でHER2陽性が再確認された転移性胃がんまたは食道胃接合部腺がん患者

・介入/比較:トラスツズマブ デルクステカン(6.4 mg/kg)群 vs. ラムシルマブ+パクリタキセル群

・主要評価項目:全生存期間(OS)

・副次評価項目:無増悪生存期間(PFS)、確認された客観的奏効率(4週間以上持続する完全奏効または部分奏効)、病勢コントロール率、奏効期間、安全性

■主な結果(Abstract based)

□主要評価項目

・全生存期間(OS):トラスツズマブ デルクステカン群はラムシルマブ+パクリタキセル群と比較して有意に延長した(中央値 14.7カ月 vs. 11.4カ月;死亡のハザード比 0.70;95%信頼区間[CI] 0.55〜0.90;P=0.004)。

□副次評価項目

・無増悪生存期間(PFS):有意な延長が示された(病勢進行または死亡のハザード比 0.74;95% CI 0.59〜0.92)。

・確認された客観的奏効率:トラスツズマブ デルクステカン群 44.3% vs. ラムシルマブ+パクリタキセル群 29.1%。

・病勢コントロール率:数値の記載なし

□安全性

・全グレード薬物関連有害事象:トラスツズマブ デルクステカン群 93.0%、ラムシルマブ+パクリタキセル群 91.4%

・Grade ≥3 薬物関連有害事象:トラスツズマブ デルクステカン群 50.0%、ラムシルマブ+パクリタキセル群 54.1%

・判定委員会により薬剤関連と評価された薬物関連の間質性肺疾患(ILD)または肺臓炎:

    – トラスツズマブ デルクステカン群:13.9%(Grade 1/2:33名、Grade 3:1名)

    – ラムシルマブ+パクリタキセル群:1.3%(Grade 3:2名、Grade 5:1名)

■著者の結論

・HER2陽性の転移性胃がんまたは食道胃接合部腺がん患者において、トラスツズマブ デルクステカンはラムシルマブ+パクリタキセルよりも有意に長い全生存期間をもたらした。

・有害事象は両群で共通して認められたが、トラスツズマブ デルクステカンの既知のリスクであるILD/肺臓炎は主に低グレードであった。

■原著論文

https://www.nejm.org/doi/abs/10.1056/NEJMoa2503119

■Pubmed

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40454632

※本ページは原著論文のAbstractをもとに、研究デザインおよび主要結果等を要約したものです。詳細は原文をご参照ください。

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この記事を書いた人

大学病院勤務18年目の病院薬剤師。

血液腫瘍、がん薬物療法、免疫チェックポイント阻害薬(irAE)、レジメン管理などを中心に、日々の臨床に携わっています。

このブログでは、知識を得るだけでなく、「なぜそう考えるのか」そして「どう臨床で活かすか」を大切にしています。

教科書や添付文書だけでは分かりにくい臨床での思考過程、論文の読み解き方、新薬・レジメンの実践的なポイントなどを、病院薬剤師の視点から分かりやすく発信しています。

【資格】

日本病院薬剤師会 病院薬学認定薬剤師
日本病院薬剤師会 がん薬物療法認定薬剤師
日本臨床腫瘍薬学会 外来がん治療専門薬剤師

患者さんにより良い薬物療法を届けること、そして病院薬剤師同士が学び合える場をつくることを目標に、このブログを運営しています。

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