目次
この研究の目的
「転移性去勢抵抗性前立腺癌に対するCacozantinib+Atezolizumabの有効性を示す」
今まで、前立腺癌に対する免疫チェックポイント阻害薬(ICIs)は承認されておりませんでしたが、この試験の結果からAtezolizumabが承認されるようになるかもしれません。詳細は論文の内容を見てからお伝えします!
文献のポイント紹介
試験デザイン・対象
- フェーズ3/オープンラベル/ランダム化比較
- 対象:ARPI抵抗性の転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)、かつ軟部組織転移例
- 治療群:Cabozantinib 40mg/日 + Atezolizumab 1200mg(3週毎)
- 対照群:ARPIのスイッチ(例:アビラテロン⇄エンザルタミド)
主要評価項目
- 無増悪生存期間(PFS):登録早期400例に対するBIRC判定(RECIST v1.1)
- 全生存期間(OS):ITT集団575例
結果(主要エンドポイント)
評価項目 | 併用群 | ARPIスイッチ群 | ハザード比 (95% CI) | p値 |
---|---|---|---|---|
PFS | 6.3ヶ月 (6.2–8.8) | 4.2ヶ月 (3.7–5.7) | 0.65 (0.50–0.84) | 0.0007 |
OS | 14.8ヶ月 (13.4–16.7) | 15.0ヶ月 (13.0–18.5) | 0.89 (0.72–1.10) | 0.30 |
- PFSでは明らかな改善が見られたが、
- OSでは有意差なしという結果に終わった。
セカンダリーエンドポイント&安全性
- ORR(客観的奏効率):13% vs 6%
- DCR(病勢コントロール率):72% vs 53%
- Grade 3–4の有害事象:56% vs 26%
- 重篤な有害事象:16% vs 4%
私見/所感
- PFS改善は評価に値する。しかし OS改善が見られなかった点は残念。
- 一方、安全性は予想範囲内であるとはいえ、副作用率は高めで、バランス感覚の精査が必要。
- 特に 肝転移サブ解析でHR 0.68 の示唆があり、サブグループの将来的な治療戦略に期待。
- 正直、個人的には副作用のプロファイルを考えるとあえて使用はしないかなーと思います。費用対効果は悪いように思えます。日本の添付文書に承認されるかどうかは不明ですが。
まとめ
- Cabozantinib+Atezolizumab併用は、ARPI抵抗性mCRPCに対して PFS延長のエビデンスを示した
- ただし OSの差や副作用とのRISK&BENEFITを踏まえると、今後の臨床応用には慎重な判断が必要
- 特に 特定サブグループにおける成功の可能性が、次世代治療戦略のカギとなるかもしれません。
参考文献
Agarwal N, Azad AA, Carles J, et al. Cabozantinib plus atezolizumab in metastatic prostate cancer (CONTACT-02): final analyses from a phase 3, open-label, randomised trial. Lancet Oncol. 2025;26(7):860‑876. doi:10.1016/S1470-2045(25)00209‑8
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